小林舞夢選手独占インタビュー(後編)

続いて後編。

アメリカで野球をするうえで大事なことや秘訣、現在の状況等を聞きました。

前編を読んでから後編をどうぞ。

アメリカで成功するために必要なもの

-実際にアメリカで野球をしようと選択を考える子は現状少ないとは思いますが、今後そういう選択肢を持った子にアドバイスを送るとしたら

アメリカで野球も勉強もしたいと考えている選手がいるとしたら、まず勉強がしっかりと出来ないと困ってしまいます。GPAという成績が3.0を下回ると練習参加を止められたりすることもあるので、野球も勉強も両立出来ないと駄目。自分からコミュニケーションが取れる子じゃないと英語も上達しないので、それも必要です。あとは野球が好きという気持ちが必要ですね。

-留学する際に準備したこととかありますか?受験勉強等の状況を教えてください。

TOEFLというのはご存じですか?アメリカの大学に進むにはTOEFLのスコアが必要で、基準点より上を取れば願書に記載出来て入学許可が下りるという形。高校在学中の1年ぐらい前からTOEFLのスコアはクリアしていたので、入学の準備は整っていました。入学自体は8月末だったのですが、4月末には渡米して、カリフォルニア州のサンディエゴというところでサマーリーグに参加して1ヵ月間くらいシーズンを通してプレーさせてもらって語学学校にも通いつつ8月まで待ったという形でした。

アメリカでの野球と学生生活

-アメリカの大学の野球というのも週末に試合とかですか?

水曜日に試合があって、金土日と試合が組まれるイメージです。水曜日に組まれる試合はカンファレンス外(日本でいうそれぞれの別リーグ、例えば東都リーグと首都リーグ、とか)のチームと戦う形です。基本カンファレンスが違えば当たらないので、西田選手がいたカンファレンスとはリーグ戦は行わないのですが、こういうカンファレンス外と当たる試合で組まれていれば、試合をする可能性があるという感じです。

-大学の授業というのはどのくらいあるのですか?

練習時間と、ウエイトの時間が決まっているので、それに被らないように授業を選択して単位を取る形です。一コマ90分が多いので、そこは日本と同じですかね。

-アメリカの授業というのはどういう形が多いですか?

授業にもよりますが、プレゼンテーションが多いですね。パワポを使ってとか。あとはディスカッションが多いです。グループで考えて結論を出す、とか。コロナの時はまた違ってオンラインでエッセイを出す形等色々ありました。

今後の進路

-例えばNPBから通訳等を期待されて打診があったりしたらどうしますか?

アメリカの大学を親に行かせてもらっているので、それなりの職業にはついて恩返ししたいと思っています。職業についてはしっかりと考えて結論を出していきたいと思います。

-どうしても野球でやっていきたいと考えていますか?

プレー出来る環境があれば野球でと考えますが、その環境が難しい、上のレベルが目指せないとなれば、進路変更して新たな道を模索したい。

-年齢的にはギリギリ(大卒社会人2年目と同じ今年24歳)かな、と思いますが育成での指名でも行こうと思いますか?

チャンスがあれば育成でも行きたいと思います。

野球塾~アメージングベースボールパートナー~

-日本に戻ってからは「野球塾~アメージングベースボールパートナー~」のお手伝いがメインですか?

そうですね。上小田井にある練習場なので、朝空いている時間に1時間~1時間半くらい使わせてもらって、休憩してからジムに移動。夕方6時くらいから野球塾を3時間くらい教えるという感じです。

-授業の生徒は結構いるのですか?

前半後半で80分。5人前後を教える感じです。

-野球塾の生徒は月謝を払ってどのくらい来る感じですか?

色々なコースがあります。月に1回~4回。(画像参照)別の塾に比べても決して安くはないですが、内容は充実していると自信を持っています。

-指導者は何人くらいでやっているのですか?

5~6人教えるときで基本3人ですね。

-「野球塾~アメージングベースボールパートナー~」で働くのはきっかけがありましたか?

アメリカから帰ってきて、プロを目指していたので、練習もしつつ、野球に携われるアルバイト、というのを探していた時にたまたま募集を見つけて申し込み、採用となりました。

-名古屋校の塾長の水本弦さん(大阪桐蔭-亜細亜大-東邦ガス)から指導を受けたりはしますか?

技術的なことは受けていませんが、社会人野球やNPBのこととかの事情を教えてもらうなどアドバイスは受けています。

ご兄弟、家族の事

-先日クラブチームの練習試合に参加したとか?

愛知ベースボール倶楽部というところに兄が参加している関係で、練習参加とか試合に出させてもらったりしました。兄は父の会社で働いていて、その中でクラブチームにも参加して野球をしているので、その縁もあって。

-お父さんは会社を経営しているのですか?

塗装業を行っています。兄もそこをいずれ引き継ぐ感じです。

-弟さんもいて、今は名古屋国際にいるとか。今何年生ですか?

今高校1年生です。今年ベンチにも入っていました。チームは大敗してしまいましたが・・・。

8つ離れています。今年は大敗してしまいましたが、チャンスと思って前向きに取り組んでいってほしいですね。

-それだけ離れていると、一番下は女の子が欲しかったのかな?

いえ、全然そんなことなくて、母は男の子で良かったと言っていました。(笑)

現在の練習環境と今後の課題

-今の練習環境は塾のところで練習して、という感じですか?

今は同級生とかも野球を続けている子がいないですし、練習相手がいない。緩いバッティングマシーンで打つことと、小牧にあるベースボールパークナガイさんでは速い球で打てるので、そこで打つくらいの感じです。あとはジムで走ることやウエイトを行うこと。キャッチボールも相手がいないので、ネットスローになってしまって。感覚を失いつつあるというのが正直な感想ですね。

-今日はバッティング等をやってみて、自己採点は何点くらいですか?

ほんとに20点くらいでした。人が投げる球を久しぶりに見た、という状況でしたし。満足いく打撃を見てもらえなかったな、という感じでした。

-投げる方もあれだけ見られている中でコントロールつけるのも大変だよね。

いやほんとにそうだと思います。急な誘いでこれだけ来ていただいただけでも感謝ですが。皆様にバックアップしていただけてありがたいです。

-今後プロへのアプローチ等、どうしていこうとか考えていることはありますか?

アメリカでやっていたので、NPBのスカウトがどういうレベルでやっていたとか、どういう投手を相手にしていたとかが分からないと思うのでその中で先日の中日スポーツの記事とかこういう取材を通して知ってもらえて今後につながれば。普通の道とは違うので、色々な可能性を考えて対応していきたいと思います。

-本日は貴重なお話、お時間、ありがとうございました。

▼小林舞夢(こばやし・まいむ) 1999年8月31日生まれ、名古屋市北区出身の23歳。173センチ、76キロ、右投げ右打ちの外野手。4歳年上の兄の影響で楠小2年時にレッドファイターズで野球を始めた。楠中では強豪「名古屋富士ボーイズ」に所属し、投手として活躍した。名城大付高では外野手としてプレーし、3年夏は初戦で敗退。サクラメント市立大に2年間在籍し、2021年秋からNCAA1部のワグナー大に編入。同大1年目には打率3割超えを記録した。(中日スポーツより)

後記

アメリカで野球を続ける。そういう選択をしている選手がいるというのはなんとなく知っていましたが、今回こうやって直接お話を聞く機会があったので、皆様にも共有したいと思い、小林選手にご協力いただいてインタビューという形でお届けしました。
アメリカに進学するというのはもちろん大変だと思いますが、語学が身に着きますし、ハングリーにもなる。進路に悩む選手にも一つの選択として指標になるかな、と。
今後、どういう形で野球を続けていけるか、難しい部分も出てくると思いますが、しっかりと自分を知っている選手ですし、アメリカでの経験を買ってくれるチームに出てきてほしいな、と願っています。

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